叙勲・褒章のドレスコードがゆるくなる?時代にそった栄典制度とは

 

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明治以来の長い歴史と伝統を有している日本の制度に、「栄典制度」があります。

 

栄典制度とは、「国や公共のために功労のあった方」や「社会の各分野においてすぐれた行ないのあった方」など、国としてその「功績」や「業績」を表彰するための制度をいいます。

 

その受章者には、栄誉のしるしとして「勲章」や「褒章」が授与されます。その栄典制度が、平成28年度に見なおしがおこなわれました。

 

新しい叙勲と褒章

戦後、勲章その他の栄典の授与は、日本国憲法第7条において、内閣の助言と承認によって行なわれる「天皇の国事行為」に位置づけられています。

 

そして授与の候補者は「各省」「各庁」の長などから「内閣総理大臣」に推薦され、「内閣府勲章局」での審査を経て、閣議において受章者が決定されます。

 

「大綬章(だいじゅしょう)」「文化勲章(ぶんかくんしょう)」は、宮中において天皇陛下から受章者に親授(しんじゅ)されます。

 

また「重光章(じゅうこうしょう)」は、宮中において内閣総理大臣から受章者に伝達され、中綬章(ちゅうじゅしょう)」などの勲章や褒章は、各府省大臣から受章者に伝達されます。

 

いずれの場合も、受章者は勲章・褒章を着用し、配偶者同伴で天皇陛下に拝謁(はいえつ)します。※(出典) 内閣府 勲章と褒章 「時代の変化に対応した授与の見直し」より抜粋

 

その栄典制度ではありますが、平成28年9月に、政府は今後5年程度の指針として「栄典授与の中期重点方針」を閣議了解し、「これまであまり栄典が授与されてこなかった分野で活躍している民間の方々へも積極的に栄典授与を進めていく」と発表しています。

 

「栄典授与の中期重点方針」の概略と基本方針

政府は「栄典授与」について、社会経済の変化に対応した「適時適切な見なおし」が必要との考え方のもと、平成28年に「時代の変化に対応した栄典の授与に関する有識者懇談会」が開催されました。

 

そして栄典授与について今後重視していく分野や候補者選考・推薦方法について検討されました。

 

では、何がどのように変わったのでしょうか。以下内閣府のホームページ 「時代の変化に対応した見直し」より抜粋して紹介いたします。

 

栄典の授与は、「公的部門」・「民間部門」を問わず、国家・公共に対する功労のあるものを積極的に選考し「顕彰(広く世間に知らせて表彰すること)」していくことを「基本方針」としています。

 

その際、「少子高齢化」「地方からの人口流出」「グローバル化」「女性の活躍」など、社会経済の変化に対応し栄典を授与すべき分野や功績を適切に見なおしていくものとしています。

 

栄典授与分野の見なおし

そこで今後栄典授与において、下記の各分野を重視していくこととしています。

 

①自治会、町内会等で功績を挙げた方

 

②商工会議所、商工会、商店街等で地域づくり等の功績を挙げた方

 

③我が国に対し功労のある外国人

 

④新たな産業を開拓した企業経営者、地域経済に貢献した中堅・中小企業経営者

 

⑤公営法人等で功績を挙げた方

 

⑥保育士、介護職員等

 

⑦地域の多くの分野で功績を挙げた方等

 

とくに、自治会および保育士については、春秋叙勲で毎回おおむね50名、外国人については、毎回おおむね150名を目指すとしています。内閣府ホームページ資料をもとに作成した表を見てください。

 

平成30年春と平成29年秋の女性叙勲・褒章受章者数の推移(外国人叙勲除く)

受章者数 うち女性の受章者数 構成比
平成30年春 平成29年秋 平成30年春 平成29年秋 平成30年春 平成29年秋
勲章 4,151名 4,103名 399名 381名 9.6% 9.2%
褒章  715名 797名 211名 163名 29.5% 20.4%
合計 4,866名 4,900名 610名 544名 12.5% 11.1%

 

上記の表でも分かるように、女性の受章者は増えています。またそれに伴い洋装の女性受章者も多くなっています。

 

なお、服装に関しても女性は着用規程の幅が広く以前のように堅苦しく考える必要がなくなっています。

 

ただ、そうは言っても受章者(または配偶者)として相応しい服装があります。そこで、伝達式・拝謁でどう装えばよいかを順に解説します。

 

新しい叙勲~叙勲・褒章伝達式と拝謁の服装

 

叙勲・勲章の種類 受章者の服装 礼装区分
大勲位菊花章頸飾・大勲位菊花大綬章・桐花大綬章・旭日大綬章・瑞宝大綬章・宝冠大綬章

男性(燕尾服 )

 

女性(ローブデコルテ・ローブモンタント)

正礼装
旭日重光章・瑞宝重光章・文化勲章

男性(燕尾服・羽織袴紋付・フロックコート・モーニングコート)

 

女性(ロングアフタヌーンドレス・白襟紋付)

正礼装

 

上記の表は大勲位菊花章頸飾・大勲位菊花大綬章・桐花大綬章・旭日大綬章・瑞宝大綬章・宝冠大綬章・旭日重光章・瑞宝大綬章・文化勲章受章者のドレスコードです。

 

これらの受章者は、勲章を天皇陛下より親授されたり内閣総理大臣より伝達されたりしてその後拝謁します。したがって、ドレスコードは平成15年内閣府が示された「着用規程」から変わりありません。

 

けれども中綬章以下の受章者は、所定の場所で所管大臣や知事から伝達され、後日勲章を着用して配偶者同伴で天皇陛下に拝謁(はいえつ)します。

 

ゆえにその方たちのドレスコードの幅が広くなっています(特に女性)。

 

新しい叙勲~旭日・瑞宝中綬章・小綬章・双光章・単光章・褒章の方のドレスコード

受章者にご案内される着用規程の内容

 

服装について

 

受章者につきましては下記が一般的です。

 

男性・・・モーニングコート・紋付羽織袴

 

女性・・・訪問着・ロングドレス・白襟紋付・スーツ

 

配偶者につきましては下記が一般的です。

 

男性・・・モーニングコート・紋付羽織袴・スーツ

 

女性・・・訪問着・ロングドレス・白襟紋付・スーツ

 

なお、モーニングコートの場合は、白手袋もご持参ください。

 

上記の内容を礼装区分で示すと下記のようになります。

 

男性の服装 女性の服装 礼装区分
受章者

○モーニングコート

 

○紋付羽織袴

○ロングドレス

 

○白襟紋付

正礼装

○訪問着

 

○スーツ

準礼装・略礼装
配偶者

○モーニングコート

 

○紋付羽織袴

○ロングドレス

 

○白襟紋付

正礼装
○スーツ

○訪問着

 

○スーツ

準礼装・略礼装

 

では、どのような装いが良いのか具体的に見ていきましょう。

 

新しい叙勲~礼装区分に当てはめた具体的な装い

 

【受章者が男性の場合】

 

下の画像は受章者のご主人がモーニングコート、配偶者の奥様が色留袖という組み合わせで、叙勲の定番スタイルです。それは、現在も変わりません。

 

 

また、同じような和服の組み合わせでも奥様の装いを訪問着にすることもできます。訪問着と色留袖は似ていますが、色留袖は「上半身は無地」で「裾におめでたい柄」が入ります。

 

そして、訪問着は肩から裾に掛けて流れるように柄が描かれています。なお、訪問着より色留袖の方が格調高い装いになります。

 

 

下は、配偶者奥様の装いを洋装にした場合の画像です。女性の装いは、正礼装で色留袖と同格の装いになります。ちなみに下画像のアンサンブルはレンタル商品です。

 

正礼装のアンサンブルを定価で求めると20~30万円と高額ですが、レンタルでお値打ちに借りることができます。参考までにドレス丈が136センチありますので、小柄な方はそのまま着用できない可能性があります。

 

その場合は下画像のような、ジャケットと黒のロングスカートのコーディネートをお勧めします。ちなみに下画像はスカート丈87センチで正礼装に近い準礼装の装いになります。

 

 

なお黒のコーディネートを「黒は絶対ダメだと書いてあった」と嫌う方もいますが、現在のドレスコードで避けるべき色はありませんので安心してください。

 

さらに、ジャケットを黒にするコーディネートも間違いではないですが、全身黒ですと集合写真を撮った時に男性と間違えられる可能性があります(男性と同化してしまうため)。

 

せっかくの晴れの席ですので、明るい色のジャケット着用をお勧めします。

 

(注)ドレスコードについては必ず内閣府から来たものを参考にしてください。たくさんの業者から、様々な案内が届きます。その中にドレスコードについて書かれたものが含まれている可能性もありますが、それらを参考にしないようにしましょう。

 

どうしても「黒のコーディネートは嫌だ」という方は同色のジャケットとスカート(ワンピース)のコーディネートをお勧めします。

 

下の画像は、正礼装に近い装いですが若干ワンピース丈(127センチ)が短いため礼装区分は準礼装になります。(上の画像と同格の装いです)

 

正礼装としてフォーマル売り場に並ぶ洋服は、ワンピース丈が140センチくらいあります。

 

ワンピース丈が140センチの場合、小柄な方ですと丈詰めが必要です。しかし127センチのワンピース丈では、小柄な方が着用してもくるぶしが隠れる丈にはならないです。

 

したがって、下の画像は正礼装ではありません。けれども必ずしも正礼装である必要はなく、丈はひざ下からくるぶしの間であれば問題なく装えます。

 

 

先ほどお伝えしたようにスカート(ワンピース)丈は「ロングでなければダメだ」と勘違いをされる方がいます。

 

けれども必ずロング丈である必要はなく下画像の着丈でもOKです。参考までに、スカート丈は72センチです。

 

 

スカート丈がひざ下丈でも装い可能ですが、男性受章者と配偶者奥様の「格」が違い過ぎるとバランスが悪くなります(着丈が長いほどフォーマル度が高くなります)。

 

したがって下画像のような略礼装に近いアンサンブル(スーツ)の装いは、あまりお勧めできません。参考までに、こちらのワンピース丈は101センチです。せめてワンピース丈は、110センチ位あると安心です。

 

あくまでも、男性の「格」に合わせて装いましょう。

 

 

【受章者が女性の場合】

 

受章者の奥様が色留袖・ロングドレスで装う場合は配偶者のご主人はモーニングコートをお勧めします。

 

 

 

受章者本人も配偶者の場合と同じように着用不可能な色はありません(紫・黒・グレーも着用可能です)。けれども、受章者は伝達式や拝謁で勲章を付けますので勲章が映える色を考慮して洋服を選びましょう。

 

なお受章者の奥様が下画像のようなスカート(ワンピース)丈の場合、配偶者のご主人はブラックスーツも可能です。

 

参考までにこちらのワンピース丈は113センチです。受章者が女性の場合は、これくらいのワンピース丈であれば装い可能です。

 

 

こちらの丈でもOKですが、スカート丈74センチですので若干短いです。

 

受章者の場合は色留袖の方も多いので、スカート丈はできるだけ長い丈(80センチ以上)をお勧めします。

 

これまでお伝えしたように、女性はドレスコードの幅が広くなっています。けれども、どちらか迷った場合は「格上」の装いをお勧めします。

 

新しい叙勲~礼装区分に当てはめたフォーマル小物の選び方

女性は装いに合わせたアクセサリー・バッグ・シューズなどトータルコーディネートが必要です。

 

また、小物の合わせ方を間違えるとせっかく「ドレスコードに沿った正しい服装」が台無しになってしまいますので気をつけましょう。

 

【コサージュ】

 

フォーマルに付きもののコサージュですが、叙勲の装いにもコサージュは重要な役目を果たします。

 

たとえば奥様が受章された場合、伝達式や拝謁では勲章をつけるためコサージュは必要ありません。けれども祝賀会では勲章を額に入れて飾るため、勲章の代わりにコサージュをつけると華やかになります。

 

また、ご主人が受章された場合配偶者の奥様は、勲章の代わりにコサージュをつけると統一感がでるのでお勧めです。

 

 

【ネックレス】

 

パールのネックレスが基本です。7ミリ玉と8ミリ玉がありますがこちらで紹介しているのは8ミリ玉です。白を付けます。

 

 

【バッグ】

 

フォーマルバッグは、必須のアイテムです。拝謁に向かう際、大きい荷物は車中や控えの間におきますが、フォーマルバッグは必ず持参します。

 

クラッチタイプでもハンドバッグタイプでも、どちらでもよいです。

 

 

【シューズ】

 

ミュールやサンダル・ブーツなどカジュアルな靴は避けましょう。足が悪くてヒールの靴が履けない場合は、履きなれた歩きやすい靴でもOKです。

 

 

新しい叙勲~限られた方だけに与えられる名誉な場を大切に

栄典制度が平成28年度に見なおしがおこなわれ、「これまであまり栄典が授与されてこなかった分野で活躍している民間の方々へも積極点に栄典授与を進めていく」と発表されました。

 

とはいうものの誰もがもらえるものではなく、限られた方に与えられる名誉な勲章(褒章)です。

 

したがって、その気持ちを装いに託すことは大切です。女性のドレスコードの幅が広くなり、装いの選択肢が増えることは良いことです。

 

しかし、選択肢が増えるということはそれなりに気を使うことが増えるということです。

 

とくにフォーマルの基本となる考え方は、相手や場を思いやる気持ちを装いで表現することです。

 

それは「叙勲の伝達式」であったり「拝謁」であったりと、そこに集まった人々だけしか味わえない特別な場での装いです。

 

そしてその場に相応しい装いをすることは、すなわち受章された方同士の連帯感を促し、同じ慶びを味わうことができるのではないかと思います。

 

なにも必要以上に神経質になる必要はないですが、このページでお伝えしたことを考慮して正しく装って頂けたら嬉しいです。

 

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カジュアルな服装が主流な近年、「フォーマルウェアにお金をかけたくない」という方が増えてきたからです。

 

けれども、フォーマルウェアは、相手の気持ちや周りの人々のことを常に配慮して装うことを求められる洋服です。そのことを理解したうえで、自分に適したフォーマルウェアを探すことが大切です。

 

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