勲章の概要と叙勲のドレスコード(着装ルール)

 

百貨店のフォーマル売り場には、春と秋に叙勲(じょくん)の内示を受けたお客さまが「どのようなフォーマルウェアで装えばいいのか分からない」とアドバイスを求めに来店されます。

 

ひとことに叙勲といっても、「勲章(くんしょう)を授与される場合」「文化勲章(ぶんかくんしょう)を授与される場合」「褒章(ほうしょう)を授与される場合」とあります。

 

また授与される内容によって「正礼装で装う場合」と「平服でもよい場合」があります。そのため、勲章や褒章を授与される方だけではなく、お客さまにアドバイスを求められる販売員にも叙勲の知識は必要です。

 

そこで、ここでは勲章の概要と勲章を授与される方(または配偶者の方)のドレスコード(着装ルール)について解説します。

 

まずは勲章の種類とどのような方が授与されるのかを見ていきましょう。

 

勲章の種類と授与対象

明治8年4月に「勲章従軍記章制定ノ件」(太政官布告第54号)が公布され、これが現在の旭日章(きょくじつしょう)の基になったもので、我が国の勲章制度の始まりと「内閣府のホームページ」に記されています。

 

その後、明治9年に菊花章(きっかしょう)、明治21年に瑞宝章(ずいほうしょう)と宝冠章(ほうかんしょう)、また、昭和12年に文化勲章(ぶんかくんしょう)が制定されました。

 

日本では、「菊花章(きっかしょう)」・「桐花章(とうかしょう)」・「旭日章(きょくじつしょう)」・「瑞宝章(ずいほうしょう)」・「宝冠章(ほうかんしょう)」および「文化勲章(ぶんかくんしょう)」に大別されます。

 

また「菊花章」は「大勲位菊花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく)」と「大勲位菊花大綬章(だいくんいきっかだいじゅしょう)」の二章、桐花章は大綬章のみ、旭日章と瑞宝章は功労内容の違いによってそれぞれ六段階に分かれています。

 

内閣府のホームページに分かりやすい表がありますので、抜粋して紹介します。

 

勲章の種類と授与対象

(出典) 内閣府ホームページより抜粋

 

種類

授与対象

大勲位菊花章(だいくんいきっかしょう)

 

◆大勲位菊花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく)

 

◆大勲位菊花大綬章(だいくんいきっかだいじゅしょう)

旭日大綬章または瑞宝大綬章を授与されるべき功労より、優れた功労のある方

 

大勲位菊花章頸飾は、日本における最高勲章で、宮中に於いて天皇陛下から親授されます。

 

これまでに明治天皇・昭和天皇・今上天皇等皇族、又一般人として吉田茂や佐藤栄作が没後受勲しています。

 

大勲位菊花大綬章は、日本における大勲位菊花章頸飾に次ぐ最高勲章です。宮中に於いて天皇陛下から親授されます。

 

これまでに皇族・王公族、又内閣総理大臣の多くが没後受勲しています。

 

桐花大綬章は宮中に於いて天皇陛下から親授されます。

 

記憶に新しいところでは、2010年秋に扇千景さんが女性初として旭日大綬章から昇叙(しょうじょ)されていま
す。

桐花大受章(とうかだいじゅしょう)

旭日章(きょくじつしょう)

 

◆旭日大綬章

 

◆旭日重光章

 

◆旭日中綬章

 

◆旭日小綬章

 

◆旭日双光章

 

◆旭日単光章

国家または公共に対し功労のある方

 

功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた方

 

旭日大綬章は、宮中に於いて天皇陛下から親授されます。

 

主に民間人が授与対象者で、記憶に新しいところでは、2015年春に石原慎太郎さんが受章されています。

 

なお、旭日重光章は宮中に於いて内閣総理大臣から伝達され、その後天皇陛下に拝謁(はいえつ:天皇陛下にお目どおりすること)します。

 

中綬章以下の受章者は、所定の場所で所管大臣や知事から伝達され、後日勲章を着用して配偶者同伴で天皇陛下に拝謁(はいえつ)します。

瑞宝章(ずいほうしょう)

 

◆瑞宝大綬章

 

◆瑞宝重光章

 

◆瑞宝中綬章

 

◆瑞宝小綬章

 

◆瑞宝双光章

 

◆瑞宝単光章

国家または公共に対し功労のある方

 

公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げた方

 

瑞宝大綬章は、宮中に於いて天皇陛下から親授されます。主に公務員が授与対象者です。

 

瑞宝重光章は、宮中に於いて内閣総理大臣から伝達され、その後天皇陛下に拝謁(はいえつ)します。

 

中綬章以下の受章者は、所定の場所で所管大臣や知事から伝達され、後日勲章を着用して配偶者同伴で天皇陛下に拝謁(はいえつ)します。

宝冠章(ほうかんしょう) 現在、女性の皇族・外国王族の方のみに授与
文化勲章(ぶんかくんしょう)

文化の発達に関し特に顕著な功績のある方

 

記憶に新しいところでは、2012年に 山中伸弥さんが受章されています。

 

叙勲のドレスコード(着装ルール)

内閣府の「勲章等着用規程第三条」に勲章等は、「燕尾服(えんびふく)若しくはローブデコルテ若しくはローブモンタント又はこれらに相当する制服に着用するものとする」とあります。

 

ただし、授与される勲章の種類によって、ドレスコードが異なります。(下記参照)

叙勲・勲章の種類 受章者の服装 礼装区分
大勲位菊花章頸飾・大勲位菊花大綬章・桐花大綬章・旭日大綬章・瑞宝大綬章・宝冠大綬章

男性(燕尾服 )

 

女性(ローブデコルテ・ローブモンタント)

正礼装
旭日重光章・瑞宝重光章・文化勲章

男性(燕尾服・羽織袴紋付・フロックコート・モーニングコート)

 

女性(ロングアフタヌーンドレス・白襟紋付)

正礼装
旭日中綬章・旭日小綬章・旭日双光章・旭日単光章・瑞宝中綬章・瑞宝小綬章・瑞宝双光章・瑞宝単光章

男性(羽織袴紋付・モーニングコート)

 

女性(ロングドレス・白襟紋付・スーツ・訪問着)

男性(正礼装)

 

女性(正礼装・準礼装・略礼装)※この場合「略礼装(平服)」とは、普段着ではなくフォーマルな装いのことですので注意してください

(注) 平成28年政府が発表した「時代の変化に対応した授与の見なおし」より女性受章者のドレスコードの幅が広くなっています。

 

正礼装で装う場合

大勲位菊花章頸飾・大勲位菊花大綬章・桐花大綬章・旭日大綬章・瑞宝大綬章・宝冠大綬章の親授式では、男性は燕尾服、女性はローブデコルテもしくはローブモンタントを着用します。(下記イラスト参照)

 

ローブデコルテは、女性の夜の礼服の一種です。ネックラインが深く大きくカットされ首元や胸元をあらわにしたスタイル(デコルテ)で、丈の長いドレスのことをいいます。イブニングドレスの代表的なスタイルの1つです。

 

またローブモンタントは、女性の昼の礼服の一種です。襟が見ごろから高くせりあがっていて、袖は手首まであり、肩や胸はおおわれていて裾は床まであるドレスのことをいいます。(下記イラスト参照)

 

 

文化勲章親授式では、男性はモーニングコート、女性はローブモンタント(ロングアフタヌーンドレス)か色留袖を着用します。(下記イラスト参照)

 

また旭日重光章・瑞宝重光章は宮中で伝達されその後、天皇陛下から拝謁(はいえつ:天皇陛下にお目どおりをすること)されます。

 

男性はモーニングコート、女性はローブモンタント(ロングアフタヌーンドレス)か色留袖を着用します。(下記イラスト参照)

 

 

準礼装・略礼装で装う場合

旭日中綬章・瑞宝中綬章以下小綬章・双光章・単光章の伝達式に男性はモーニングコート、女性はロングアフタヌーンドレスか色留袖が望ましいです。

 

ただ、「平服を着用することもできる」とあります。

 

平服とは、普段着(デニムやニット)の装いとは異なります。ミディ丈(ひざが隠れる丈)からミモレ(ふくらはぎ丈)のドレス(スカート)が基本で、ジャケットを合わせたフォーマルな装いのことをいいます。(下記イラスト参照)

 

 

このように勲章の種類によってドレスコード(着装ルール)は違います。

 

けれども先ほど叙勲の種類でも述べましたが、宮中で天皇陛下より親授されたり内閣総理大臣から授与されたりする受章者は全体のごくわずかです。

 

したがって正礼装で装わなければならない女性受章者は、全体の約2%に過ぎません(下記の表参照)。

 

平成30年春の叙勲受章者(内閣府ホームページ参照)

項目名 礼装区分 人数
天皇陛下より勲章を親授または内閣総理大臣より授与 正礼装 75名
伝達式後、拝謁 男性(正礼装) 女性(正礼装・準礼装・略礼装) 4,076名
受章者合計 4,151名

このように大半の女性受章者(上記図では受章者の98.1%)は、必ずしも「正礼装」である必要はなく、むしろ準礼装や略礼装の装いの方が大半です。

 

(注) 平成28年政府が発表した「時代の変化に対応した授与の見なおし」より女性受章者のドレスコードの幅が広くなっています。

 

新しい叙勲〜叙勲の伝達式・拝謁の着装ルール

平成28年に「時代の変化に対応した栄典の授与」との考え方を基に栄典授与の見直しが行われ、「これまで栄典授与が十分でなかった分野を重視すると」政府が発表しました。

 

なおそれに伴い、女性の授与者が増え洋装での出席者が増加傾向にあります。さらに女性のドレスコードの幅が以前より広くなっており、色の制約もありません。

 

そこで、中綬章以下の受章者と配偶者が伝達式・拝謁で着用するフォーマルウェアを見ていきましょう。

 

男性の服装 女性の服装 礼装区分
受章者

○モーニングコート

 

○紋付羽織袴

○ロングドレス

 

○白襟紋付

正礼装

○訪問着

 

○スーツ

準礼装・略礼装
配偶者

○モーニングコート

 

○紋付羽織袴

○ロングドレス

 

○白襟紋付

正礼装
○スーツ

○訪問着

 

○スーツ

準礼装・略礼装

 

「旭日中綬章・瑞宝中綬章以下小綬章・双光章・単光章」受章者の装い

【男性受章者の装い〜正礼装】

 

モーニングコート(紋付羽織袴)を着用します。

 

 

【女性受章者の装い〜正礼装・準礼装・略礼装】

 

ロングドレス、白襟紋付、スーツ、訪問着のいずれを着用してもよいことになっています。

 

下画像は、ロングドレス(正礼装=ロングアフタヌーンドレス)で色留袖と同格の装いになります。こちらはレンタル商品です。

 

参考までにドレス丈が138センチありますので、小柄な方は長すぎる可能性があります。

 

 

その場合は、フォーマルジャケットとロングスカートをコーディネートした装い(下画像)をお勧めします。こちらは、ロングアフタヌーンドレスの代わりとして着用できるフォーマルウェアです。

 

なお、このスカートの丈は87センチで和装の訪問着と同格「正礼装に近い準礼装」の装いになります。

 

 

フォーマルは、スカート丈が長いほど格調高い装いになります。下の画像で、スカート丈81センチです。

 

この画像を見ても分かるように、着用者の身長によって見え方は異なります。

 

したがって、通販サイトで購入したりレンタルドレス通販サイト(下画像はレンタル商品です)を利用したりするときは「どれくらいの長さになるか」を考慮しましょう。

 

 

スカートの長さをもう少し短くしても装えます(下の画像参照 こちらのスカート丈は74センチです)。ちなみに、礼装区分は準礼装です。

 

 

ジャケットとスカートを同色でコーディネートしても装えます(下の画像参照)。参考までに下画像のスカート丈は、80センチです。(下画像はレンタル商品です)

 

 

「旭日中綬章・瑞宝中綬章以下小綬章・双光章・単光章」配偶者の装い

【男性配偶者の装い〜正礼装・準礼装・略礼装】

 

下の画像は、ディレクターズスーツです。昼の準礼装として装えます。女性の受章者が上の画像のようなフォーマルウェアで装えば、配偶者の男性の装いは、モーニングコートかディレクターズスーツが相応しいです。

 

 

けれども年配の方には、ディレクターズスーツより馴染みがあるブラックスーツ(下画像)の方が人気です。

 

なお、ブラックスーツも準礼装ですが、ディレクターズスーツより「格下」の装いになります。

 

 

下の画像はダークスーツ、略礼装の装いです。

 

 

【女性配偶者の装い〜正礼装・準礼装・略礼装】

 

受章者・配偶者とも女性は、男性の格に合わせて装います。

 

男性の受章者が上の画像(略礼装)のようなダークスーツで装えば、女性配偶者は下画像の装いが相応しいです。参考までに下の画像のドレス丈は、102センチ(9号)です。

 

 

先ほど上の画像で紹介した装いも、男性のスーツと同格の装いとして着用できます。このように女性のドレスコードは幅が広く曖昧です。

 

 

したがって、フォーマル売り場で見かけるジャケットとミモレ(またはミディ)丈スカート(またはドレス)のコーディネートは、男性が「ディレクターズスーツ」「ダークスーツ」どちらの装いにも合います。

 

たとえば下の画像のドレス丈でも大丈夫です。ちなみにこちらのドレス丈は、112センチです。(注) こちらでは主に黒のスカート(ドレス)をコーディネートしていますが、ジャケットと同色のスカート(ドレス)のコーディネートもOKです。(下画像はレンタル商品です)

 

 

これまで解説したのを見ていただいても分かるように、女性はドレスコードの幅が広くかなり自由に装うことができます。

 

たとえば、男性がモーニングコートの場合女性は、「スカートの長さをミモレ丈かロング丈」、男性がスーツの場合女性は、「スカートの長さをミモレ丈かミディ丈」にすれば着用可能です。

 

上画像女性の礼装区分は、準礼装です。女性の準礼装は幅が広いので、フォーマルな装いはスカートの長さを考慮して便利に着まわせます。

 

新しい叙勲〜叙勲の伝達式・拝謁フォーマル小物の合わせ方

叙勲の装いが決まっても、小物の合わせ方が分からない方は多いです。叙勲の伝達式や拝謁(はいえつ)となると、「これはルールにそっているだろうか」と不安になります。

 

しかし、ルールに神経質になり過ぎて、混乱をしてしまう方が少なくありません。そこで、どのような小物を合わせればよいかを個別にご紹介します。

 

【ネックレス】

 

ネックレスはフォーマルシーンで着用必須のアイテムです。

 

しかし下画像のネックレスのように、石(ロンデル)が付いたパールは「光っているから叙勲では使えない」と勘違いをする方がいます。けれども、問題なく使えます。

 

 

もちろんシンプルな一連のパールも式典に相応しいネックレスです。(下画像)この場合は白のパールを付けます。

 

 

【バッグ】

 

バッグもネックレスと同様必須のアイテムです。伝達式だけではなく拝謁に向かう際も、女性の受章者・配偶者ともにフォーマルバッグは必ず持参します。

 

下画像のようにかぶせ部分にラインストーンがついていても問題ありません。

 

 

けれども「どうしても光るのが気になる」という方は、ホースヘアバッグがお勧めです。

 

ホースヘアバッグとは、厳選した馬の尾毛を用いて熟練の織職人が手作業で作る高級なバッグです。

 

 

こちらのバッグもお勧めです。

 

 

なお「光る小物」とは下の画像のように、キラキラしたネックレスやバッグのことを言います。これらのネックレスやバッグはパーティー用で、おもに夜用です。したがって式典では使えません。

 

 

【シューズ】

 

靴は布製が正式とされていますが、プレーンな革のパンプスでもよいです。

 

 

【コサージュ】

 

伝達式や拝謁では、受章者の勲章の色を意識したコサージュを配偶者(女性の場合)がつけると統一感がでるのでお勧めです。

 

また祝賀会では、勲章を「額縁」に入れて会場に飾るのが一般的です。そこで、女性受章者は勲章と同色のコサージュを胸元に付けると華やぎます。

 

 

 

女性の叙勲ドレスコード〜幅が広いからこそ慎重に装うことが大切

叙勲伝達式・拝謁に相応しい洋服を画像で紹介しましたが、「男性の服装」は分かりやすいが「女性の服装」は選択肢の幅が広く「どう装えばよいか分かりにくい」と感じた方がいるかもしれません。

 

近年フォーマルな装いもカジュアル化の波に逆らえず、「自由に装えるフォーマルウェア」が増えています。そして叙勲もその時代の波を考慮して、見直しを行うことは悦ばしいことです。

 

けれどもそれは良いことではありますが、「それでは自由に好きな服を着ればいいのではないか」と勘違いをしてはいけないと思います。

 

たしかに、自分が着たくない服をいやいや着る必要はありませんが、フォーマルで装うには相手に対する思いやりの気持ちが必要で「その場に相応しい装い」を心がけることが重要です。

 

最近は、フォーマルウェアも「通販サイト」や「レンタルドレス通販サイト」で自由に購入できる時代です。そのような時代だからこそ、「緊張感を高めて装う」ことが大切です。

 

何はともあれ、限られた方だけに与えられる名誉ある勲章です。このページでお伝えした「叙勲・伝達式に相応しい装い」にお祝いの気持を託して、叙勲の伝達式・拝謁に臨んでください。

 

大人女性が自分に適したフォーマルウェアを見つけるには、「フォーマルドレス・ワンピ通販サイト」や「レンタルドレス・ワンピ通販サイト」がお勧めです。

 

カジュアルな服装が主流な近年、「フォーマルウェアにお金をかけたくない」という方が増えてきたからです。

 

けれども、フォーマルウェアは、相手の気持ちや周りの人々のことを常に配慮して装うことを求められる洋服です。そのことを理解したうえで、自分に適したフォーマルウェアを探すことが大切です。

 

そこでこのサイトでは、価格以上の価値があるフォーマルウェアを厳選して紹介しています。ぜひあなたらしいフォーマルウェアを見つけてください。

 

 

 

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